老人施設での映画上映について
ほとんどの老人施設では、入居者は食事の支度をしたり、掃除をすることもなく快適に暮らすことができるので、その分時間を持て余し、毎日の生活が単調になりがちです。
日々の家事労働から解放されることはとてもありがたいことですが、
人間は毎日何もやることがないと、生活にはりあいが無くなって、元気を失ったり、ひどい場合には生きる気力が失われることさえあります。
せっかく健康で長生きするために老人施設に入ったのに、かえって健康を害することになっては困ります。
そこで、最近の老人施設では、
入居者に楽しく暮らしてもらうために、いろいろな活動を行っているところが増えています。
高齢者の側も数ある施設の中から、特色あるサービス、豊富なクラブ活動を提供している所を選ぶ風潮が高まっています。
各クラブごとに先生を招き本格的に活動しているところや、地域の小・中学生の職業体験を受け入れる施設など多く存在します。
その中でも密かに人気を集めているのが、映画の上映設備のある老人施設です。
映画の上映施設があることでどのような効果あるのかをみていきましょう。
映画を上映する理由
集会室で上映会を開催して、迫力ある大画面のテレビで入居者が集まって映画鑑賞をすることもあれば、各種のDVDを貸し出しして、入居者が個室の自分のテレビで楽しむ場合もあります。
特に、昔の日本映画や、ハリウッドの古典作品は人気が高いです。
回想法の効果や感情の活性化
回想法とは、昔の懐かしい写真や音楽、映像を見たり、触れ、経験や思い出を語り合う一種の心理療法で、認知症の方へのアプローチとして注目されています。
今現在の高齢者が20代から30代くらいの時代は映画の全盛期でしたので、入居者の方には誰にでも思い出の作品があるものです。
そうした作品は今DVDとして復刻販売されているので、自分の青春時代の思い出を懐かしみながら、古典的名画をいつでも楽しむことができます。
また、ただ鑑賞するだけなら特に体力を使わないので、
身体を動かすことや、自ら何かをするのが苦手だったり、身体が不自由な方でも、いつでも好きな時に名画を楽しむことができるのが大きな魅力となっています。
優れた映像作品は、人の視覚や感情に強く訴えかけます。
お年寄りになるほど、どうしても感覚が鈍くなり、感情の起伏が平坦になってしまうので、
名画を見て強い感情を覚えることは、心身にとても良い影響を及ぼします。
笑顔で免疫力アップ
お腹の底から笑うと心も体も元気になった気がします。
実際「笑い」は心や体にいいということが医学的に実証されつつあり、最近では病気の予防や治療においても注目が集まっています。
優れたコメディ等の娯楽作品を見て大笑いすることで、ストレスも発散できるうえに、リラックスして免疫力が高まるので、病気をよせつけずにいつまでも長寿を保つことができるのです。
また、感動し涙することによってストレスの解消し、筋肉がゆるい緊張をほぐすこともできます。
映画上映は健康を意識した上でもメリットが多い
映画はとても手軽に楽しめる娯楽ですが、それが人に及ぼす効果は絶大なものがあります。
又、身体の状態に関係なく幅広いお年寄りが楽しむことができます。
いち早くこの効果に気づいて映画鑑賞をサービスに取り入れている老人施設は、入居者にとってとても居心地のよい場所といえます。