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世界の介護政策から日本が超高齢化社会を乗り越える介護対策のヒントを見つける


かつては、子供や家族が親の介護を行うものとされていましたが、高齢化が進むにつれて介護を必要とする高齢者の増加、それに加えて核家族化の進行もあり、介護による離職が社会問題となりました。
そこで、家族の負担を軽減し、介護を社会全体で支えることを目的に2000年介護保険法によって制定されたのが介護保険制度です。
年々高齢化率はあがり、総務省が2021年9月20日にまとめた推計によると、65歳以上の高齢者は、前年と比べて22万人増え、3640万人と過去最多を更新したそうです。
国連のデータで各国の高齢化率と比較すると日本は29.1%でダントツ世界1位。
2位のイタリアは23.6%で、日本との差は5.5%もあります。
しかし、高齢化問題に直面している国は日本だけではなく、同じように介護政策に追われている国や、様々な工夫をして介護問題を解消している国もあります。
日本では年々右肩上がりに高齢者が増えていくことが見込まれているため、より質の高い効率的な介護対策が急務となっています。
今後の介護はどうなるのでしょうか?
日本はどのような対策をしていくとよいのでしょうか?

諸外国における介護政策

福祉大国と呼ばれる北欧の国スウェーデン


スウェーデンは国が積極的に介護サービスを提供しています。
1950年代にはすでに高齢化率が10%を超え、早い段階で高齢医者保護を目的とした高齢者福祉、介護施設などの議論が開始されました。
要介護者の問題だけでなく、介護者の労働環境や人員不足も発生し、介護者負担軽減のための支援も行われるようになりました。
「エーデル改革」によって、1992年からは介護保険を利用するのではなく、それぞれの市町村側が約95%を税金から支払うというシステムになっています。
この改革前は、要介護者の症状の段階によって施設が分けられ、症状が軽快すると別の専門施設に移動しなくてはならず、利用者に大きな負担がかかっていましたが、改革後はできる限り移動せず、病院のような作りであった施設も自宅のような住まいとして過ごしやすい形に移行しています。近年では公営の施設だけでなく、民間の施設も増加傾向になり、介護者側の負担軽減も可能なように、施設スタッフの数も十分に雇用され、利用者とスタッフの割合は約1:1となっています。さらに役割分担が細かく決められており、一人の介護者であらゆることを賄う必要がありません。
地方自治体を中心に、在宅介護のサービスや訪問ケアサービスを充実させたことにより、ホームヘルパーの公的地位は安定しました。
このように要介護者への快適性や介護者の労働環境など両方の事情を考慮し、早期に様々な高齢化福祉への対策を開始していることもあり、スウェーデンは福祉先進国へと発展しています。

介護保険が充実するドイツ


ドイツは社会保険という仕組みを世界で初めて作り出した国です。
1995年には介護保険制度が日本のように失業、年金、労災、医療保険に続き開始されました。日本との介護保険の違いは、65歳以上という特定がないこと、自宅での介護のための現金給付が存在すること、介護休暇時の有給休暇と時短勤務の給料補償が受けられることです。ドイツの介護制度は在宅介護優先の方針がとられており、日本で転換を目指している地域包括ケアシステムの手本とも言われています。施設に行くにしても自宅で介護するにしても充実した保険制度により安心の生活が保障されています。

イギリス


イギリスは公的年金支給額が低い為、年金の繰り下げ制度が設けられています。国民一人ひとりが元気に働くことを支援し、老後のための経済的な基盤づくりを国がサポートしています。
以前は、要介護となった場合は介護施設を利用するのが一般的でしたが、在宅ケアを重視する政策が進んでおり、人々の認識が見直され、少しずつ在宅ケアも増加してきています。介護制度は低所得者に限り公的補助があり、低所得者以外は自己負担となっています。介護者の負担軽減も重視しており、全ての業務を一人でこなすことのないように、それぞれの役割分担もしっかり決められています。「hoist(ホイスト)」と呼ばれる移動する際に介護者を持ち上げる運搬機械なども積極的に導入されており、介護者の身体の負担も軽減する努力がされています。民間会社が地方自治体から委託されて、ホームヘルプやデイサービス、ソーシャルワーク、配食サービス、福祉用具の提供などの多様なサービスを提供することによってサービスの質が高まっています。

介護先進国として有名なデンマーク


デンマークでは65歳以上の高齢者は必要なサービスをいつでも無料で受けられます。
しかも住み慣れた自宅で生活しながら在宅介護を受けるか、介護施設に入るかを自分で選択できます。1960年代に高齢化率が10%を超えたことで、介護費増大の問題を抱え、政府は介護施設を多数建設する計画を促進しましたが、結果的に施設の建設費を含め介護費の大幅な増加を招いてしまったため、新規建設を禁止し在宅介護を重視することにしました。その結果、介護が必要になってもできるだけそれまでの生活を断絶せずに、継続性をもたせ、高齢者自身の決定事項を尊重し、残っている能力や機能に目を向けて自立支援をしていくことが、高齢者の健康維持の面からも費用の面からも効果的だということが示されました。また、医療・福祉に関わる人材のほとんどが、公務員のため待遇は安定しており、低賃金などによる人材不足の問題がないことも有名です。

アメリカ


アメリカには一般の市民向け公的介護保険制度は存在せず、高齢者・障害者・身体の特定の疾患がある者・低所得者の医療保険のみがあります。民間の介護保険に入るか、高額な費用が払えない場合は、家庭内で介護する形になります。そのため多くの高齢者が在宅での介護が必要となり、家族の介護負担が大きな社会問題になっています。その一方で、介護者不足も大きな問題になっており、要介護者が増加するに伴い、施設においても介護者の必要性が高まっていますが、介護者の給与は低く、労働条件も悪い為、離職率が大変高くなっています。

各国高齢者の割合や財政状況によって違いはありますが、おおむねの国が在宅ケアを中心とした介護制度を導入し、高齢者の健康維持や自立支援に力を入れています。

日本の現状


日本では40歳以上で介護保険料の支払いを開始する形で介護保険制度が運営されています。
そして介護保険サービスの内容は一概には言えず、その様式は様々です。要介護者全員が介護施設で過ごすわけではありません。介護は様々な形態が存在し、大きく分けると在宅サービス、施設サービス、地域密着型サービスがあります。日本では様々な介護サービスが存在し、介護保険なども充実しています。しかしながら人員不足や施設不足、そして要介護者の増加などがあり、IT技術などを使用し克服する必要があります。

まとめ


日本の介護施設は世界的に見ても手厚く、介護職員が率先してサービスを行うことが多いですが、全てのことを介護者が手を差し伸べてしまうと、要介護者のできることを奪ってしまうことになります。諸外国では自らの自助努力を助けるということが基本となっており、要介護者ができることは自分の力で行うことを重んじることで、介護予防にもつながります。最近は日本でも、高齢者ができるだけ自立して暮らせるように支援をしたり、要介護者であっても出来ることと出来ないことを見極め、残存機能を大切に介護をする流れになってきています。
介護先進国の状況や制度を見習い、新しい技術の導入や政策を打ち出し、全ての人が平等に恩恵を受けられるようになるといいですね。また、介護者の給与が低く、労働条件も悪い為、離職率が高い点についても諸外国を参考にして、今後の超高齢化社会で高齢者も要介護者も介護者も安心して暮らせるような国にしていきたいですね。

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